雪っこ

大船渡蔵仕込み第一弾「雪っこ」完成

新工場で造る初めてのお酒、「雪っこ」の出荷を迎えた酔仙酒造。

今期の「雪っこ」、新工場「大船渡蔵」にかける想い、ならびに今後の酔仙の復興について伺うべく、SINAP が金野靖彦社長と製造部の金野泰明氏にインタビューをいたしました。

今年も例年通りの10月1日に「雪っこ」の発売となりました。今の感想を率直にお願いします。

金野靖彦社長 まず、8月22日予定通りに新工場の竣工式を行い、予定通りに今「雪っこ」が進められているという点について大変大変感謝しているところです。昨年は、いつもあること・いつもできることが必ずではないということが非常に強く感じられたわけですが、今年は少しそういった気持ちが少し薄れているので、もう一度頭の中、腹の中、胸の中に入れ直さないといけないなという風に感じております。

新工場での仕込み第一号となりました「雪っこ」ですが、今年はどのような味に仕上がりましたか?

金野社長 香りは満足しております。もう少し、あと何日か熟成させると非常にいいできばえの雪っこになるのではないかと感じております。

(写真)
工場で出荷を待つ雪っこ

先日完成しました新工場「大船渡蔵」設立についての思い、またご支援いただいた方々への思いを改めてお聞かせいただけますか?

金野社長 私自身は工場設立といいますか、復興につきましては、復興するかしないかではなく復興するために挑戦するということでやってまいりました。その挑戦するという部分が最終的には新工場設立につながったと思っております。大変大変色々な意味合いで、多くの方々からのご協力・ご支援もありましたし、ご縁もいただきましたし、運もよかったと思っております。

新工場の設立が決定してから着工から竣工まで、かなり急ピッチで進みましたが、苦労なされた点はありますか?

金野泰明氏 一から作る工場だったので、いいものを作るために設計士の人とやりとりを重ねてもっとゆっくり進めたかったのですが、時間的に余裕がなかったという点が苦労というか辛かった点です。基本的に千厩と大船渡という離れたところで情報のやりとりをしていたので、何回か定期的に集まったりという作業も距離が遠かったので大変でした。あとは工場の建設を今までやったことがなかったという点です。

その初めての工場での仕込み、これまでや去年と比べて戸惑ったり苦労された点はありますか?

金野泰明氏 去年お借りしていた千厩の工場は元々お酒を作っていたところなので、必要な道具は探せば何かしらありました。今年は新工場なので道具や機械はだいたいのところは購入して揃っていましたが、仕込みが始まってからあれもないこれもないと細々としたものが足りないことに気がつきました。本当に新工場なんだなと思いました。

少し気が早いかもしれないですが、「雪っこ」以外の今後の出荷予定、新工場での酒造りの予定など、お話できる範囲でお聞かせいただけますか?

金野社長 まずは「雪っこ」、新米新酒、ならびに12月にはいってからの初酒槽(はつふね)、これらをしっかり造っていきたいと思っております。
また、並行しながら普通酒(純米酒、本吟醸など)も造らないといけないと思っております。蔵が新しくなり、水も変わり、今度は差別化という点も含めて酔仙酒造自体の特徴を追い求めていかなくてはなりません。そのためにも、新しい機械や器具、設備への慣れやなじみが必要ですし、また機械からもなじんでもらうことでより安定感がでて、吟醸酒、さらには品評会に出せるようなお酒造りができるようになるのではないかと思っております。

新工場の設立は復興への第一歩だと思うのですが、今後の酔仙酒造の復興計画についての展望をおきかせください。

金野社長 今回「大船渡蔵」と命名しましたのは、何とか陸前高田に本社をという思いからです。新工場設立につきましては、ありがたいということだけは本当にいくらいっても足りないくらいありがたいと思っております。ただ、今の工場では酔仙酒造が持っている10個の免許のうち、敷地含めた能力的な問題として2つ3つしか生かせないだろうと考えています。残りの免許をどう生かすか、特に乙類焼酎をどうするかというのが今後の大きな課題です。
また、酒造りは伝統産業ですので「継承・伝承」はもちろんですが、新しいものへの挑戦も必要ですので、そういった場所も今後必要になるだろうと考えております。

Twitterの反響をみてもおわかりになるかと思いますが、昨年と同様に「雪っこ」をお待ち頂いてる方々がたくさんいらっしゃいます。ひと言メッセージをお願いします。

金野社長 昨年経験した様々な苦労を織り交ぜ、新しい工場で一心に作った「雪っこ」でございます。震災後二度目の季節がきたなぁと実感していただければありがたいなと思っております。遠くにいる人も近くにいる人も、知ってる人も知らない人も被災地を想ってくれるということが一番の元気のもと、励みでございますので、「雪っこ」を見て、飲んで被災地を思い出していただければと思っております。

最後に皆様にお伝えしたいことがあれば、お願いいたします。

金野社長 支援していただいた方々へは、なんと表現していいかわからないくらい、言葉がないくらい感謝しております。この感謝の気持ちを、それぞれの方々が、それぞれのお気持ちで理解していただければありがたいと思っております。

2013年 雪っこ出荷についてのインタビューはこちら>>

2011年 雪っこ出荷についてのインタビューはこちら>>

飲酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒はなによりも適量です。飲んだあとはリサイクル。