美酒を伝承する人たち
「酔仙酒造醸造課 何でもやります 金野泰明。」
蔵人インタビュー第3弾は醸造課・蔵人 醸造事務 金野さんです。
造り酒屋の家系で育ち、大学で醸造について学び、埼玉の酒造会社で経験を積まれた後、酔仙に入社されたそうです。今年で 8 年目を迎えた金野さんの造り手ならではのエピソードや日本酒に対する想いなど、沢山のお話を伺ってきました。それでは、どうぞ!
ーではよろしくお願いします。早速ですが、金野さんは蔵人とお伺いいたしましたが、実際どのような事をされているのですか?(インタビュアー)
私が担当している業務は主に「室の子」、「醸造事務」、「分析」などです。
ー聞き慣れない言葉が沢山ありますが。
「室の子」は麹を造る「麹屋」の補佐役のことです。「醸造事務」は年間の酒造計画の作製やそれに伴う原料米の必要量の計算、その他原料・資材の発注や各種帳簿の作製等です。
「分析」は酒母と醪の分析(発酵経過を知るため)と製成〜出荷までの各工程での分析です。
ーすべてのお酒の製造計画ですか?とても重要な作業ですよね。
はい。お酒の醸造は、すごく複雑なので計画に落とし込むのが大変なのですが、とても重要なんです。原料となるお米を精米ごと、品種ごとに、何俵必要なのか計算します。お米って、春から田植えが始まるので、前年の秋ぐらいにはある程度量を決めておかないといけないんです。田植えをする前に少し増やしたいと思っても貰えない場合があるので。
ーとても神経を使う作業ではないですか?
そうですね、なので比較的時間をかけられる夏の期間に計画するようにしています。
ー現在は機械も多く使用されているようですが、人にしかできない作業はありますか?
単純に香りを嗅ぐこと、見た目の『状貌』を確認すること、それから品物の温度を確認することですね。温度は温度計で測るのですが、刺した部分は測れるけど、均一とは限らないし、必ずしも温度計が絶対ではないので、大体正しい値を指しているかを触って確かめます。
自分のお酒を利き酒することも重要な仕事です。利き酒するときは、自分の体調、状況等をある程度みんな考慮していますね。
ーズバリ、金野さんの職業病とは?
なんでも匂いを嗅いでしまうことですかね(笑)
―重いものを動かす作業が多いので腱鞘炎とか腰痛とかかと思っていましたが、匂いを嗅いでしまう事ですか(笑)そんな金野さんを想像してみます(笑)
ー酔仙の特徴や、他の銘柄との違いはどんなところがありますか?
酔仙の酒には綺麗な甘さがありますね。甘味が特徴的で、かといってお酒が綺麗なので甘くてもだれることもない良いお酒だと思います。他社さんのお酒を飲んだりするとやはり土地土地のお酒に違いがあるんですよね。
例えば新潟のお酒はけっこうキリッと辛いのが揃っていますが、東北のお酒はちょっと素朴な感じですかね(笑)
ー酒造りを通して嬉しい時はどんな時ですか?
上手く造られているお酒に出会えた時は、やっぱいいなって思います。造り手のこういう思いで造られた酒なんだろうなと分かる時があって、なかなか狙い通りにやり続けることが難しいと思うんです。でもそこが追い求められるものだと思うし、すごくいい事だと思いますね。
ーでは、いちばんホッとできる時期はいつですか?
皆造(かいぞう)の前の『かけどめ』の時がいちばんホッとしますね。
ー『かけどめ』?
要は全部のお米を蒸かして麹にして、タンクに仕込んでしまう、最後の作業のことです。そこから醪(もろみ)の期間が 20 日くらい(発酵期間)があって、それを搾りきったときを皆造といいます。
ー今後はどのようなことを目指していきたいですか?
日本酒のパイが大きくても小さくてもいいのですが、ある程度日本人の生活に根差したような物で推移していかないといけないと思います。そうしたきちんとした造りの日本酒をもっと手頃な価格でシンプルに造れるようになりたいですね。本来のお酒はこういう文化として昔からありますよ、それがこの先も続いていきますよってしなければ、我々がやっている意味が無くなってしまうので。
ーでは、最後に酔仙ファンの方に一言お願いします。
いつも酔仙を飲んでいただいてありがとうございます。みなさんに美味しいと言っていただける酒を造り続けたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

金野 泰明
(こんの やすあき)
車が大好き。
愛娘がかわいくてしょうがない。
地酒(岩手の地酒)が特に好き。
おつまみは自分でパパッと作ってしまうほど料理好き。
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