蔵人便り
SINAPによる復興レポート -お酒にまつわるこぼれ話-
酔仙酒造は10月17日に無事震災後初の新酒を出荷し、数々のトラブルに見舞われながらも復興への道を歩んでいる。今後は年末の「初酒槽」出荷へ向けて準備を進めていくと同時に、雪っこの安定供給にむけて努力を続けていく。
■杉玉
ホームページのトップをかざる、酔仙酒造の社員が「雪っこ」を掲げる写真。その後ろの蔵の入り口にみえる茶色の球状の飾り。上の写真は、今期掲げられた新しいものだ。この飾り、気になった方はいないだろうか。私は最初に千厩の工場を訪れた時に、「これはなんだろう」と疑問に思い金野社長に訪ねてみた。
この飾りはスギの葉を集めて球状にしたもので「杉玉」と呼ばれている。この杉玉は新酒ができた時に蒼々とした新品がかざられ新しい酒ができたことを知らせる意味がある。やがて、スギの葉は枯れて色が茶にかわっていくのだが、それが新酒の熟成具合を表していて、杉玉が全て茶色に変わった時は新酒の飲み頃となるということだ。
今期、酔仙酒造の蔵に掲げられた蒼々とした杉玉には蔵人たちの再興への熱い思いが込められている。
長い間酒蔵は女人禁制の世界であった。もちろん、現在は女性の杜氏で活躍されている方もいるが、昔はお酒造りはもちろん、蔵に入ることさえ許されていなかった。
それはなぜか?酒蔵には女神様がいて、女性が酒蔵に入ると嫉妬してしまい、神のご加護を受けることができないと考えられていたというのがその理由だ。
というのは建前で、実はこれにはちゃんとした理由がある。お酒造りは男性のみの世界。しかも蔵で寝食をともにし仕込みを続けていた。仕込みの段階で外から菌がはいらない様に窓が無い蔵の中は日中でも薄暗かった。そんな中に女性が入っていけばよからぬことが起きてしまう。言い換えれば、そうした男性のみの辛い禁欲生活をしても、いいお酒を作るという決意のあらわれでもある。
だから、職人は仕込みの間は納豆を食べない。いままで大事に育てた麹が朝食べた納豆が原因で死んでしまったとなったら悔やんできも悔やみきれないだろう。
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飲酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒はなによりも適量です。飲んだあとはリサイクル。
昨日のNHKTVを見た神奈川県の旧友から・・・・「 K.M(酔仙酒造の従業員)が映ってた!」と電話・・・。およそ44年前、日立製作所入社同期生の消息・・・。知らせてくれた携帯電話番号に、いてもたってもいられず即!電話・・・懐かしい声・・・。生きてた! 62歳で久しぶりの、涙、涙・・・。
その後、酔仙酒造さんのホームページ見ました。なんとタイトルバックの写真に44年前のK、M君が左から後ろ3人目にちっとも変わらず、写っていました。私は酒飲みです。島根から1700km位・・・「雪っこ」、そこに買いに行きます。酔仙酒造さん、うまいお酒楽しみです。K、M君に宜しく!