蔵人便り

SINAPによる復興レポート -酔仙酒造再出発-

初対面の日から1ヶ月後の2011年7月15日。今年の新酒を醸造する岩手銘醸株式会社の玉の春・千厩営業所に私たちは案内されていた。

初対面の日からシナップでは2週に1回、酔仙酒造及び陸前高田の現状を知るためとサイト制作の打ち合わせのため、金野社長と息子の泰明さんの元を訪ねている。打ち合わせの度に陸前高田の市街地の様子を見ていたが、初めて見た時は「これは瓦礫を片付けるだけでも今年一杯で完了するのか」と思っていた。しかし、くる度に陸前高田の瓦礫は片付けられ、急ピッチで復興が進んでいることを感じられた。実際には新しい街づくりから考える必要があるので、復興に要する時間は少なく無いだろうが、こうして街が復興していく様子を肌で感じられるのは貴重な体験であった。

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この1ヶ月で酔仙酒造の復興も大きく進んでいた。玉の春・千厩営業所ないの醸造設備へ酒造免許の移転が完了し、10月1日に「雪っこ」の新酒発売へのスタートを切っていた。この日はまだ、醸造に携わる方への拠点を整備しているという事だったが復興に向け一歩一歩確実に進んでいる事は私たちも実感していた。
打ち合わせの後、醸造設備の中を案内して頂けた。岩手銘醸株式会社の協力で利用できる事になった、この蔵は、大正元年県内有数の富豪といわれた大東町の横 屋総本家から分家して創業したという。その母屋は歴史的価値も高く重要文化財として指定されていて、観光地にもなっているようだ。
その施設の一つ一つを案内し、丁寧な解説をしてくれる金野社長。その解説すべてが始めて知る事でしきりに感心してしまった。本当に忙しい中丁寧に対応して頂けて頭が下がるばかりだ。

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醸造設備の中も案内してもらい、お酒にまつわるお話をたくさん聞かせてもらった。10月1日に新酒を発売するには、8月中旬に仕込みを始めなくてはならい。しかし、本来この醸造設備は「寒造り」と呼ばれる気温の低い冬場に仕込むための設備であるので、空調設備がなく夏場の仕込みにはむかない。冷却しないと熱のため必要以上に発酵が進んでしまうためだ。そのため、製氷機で造った大量の氷を金属製の筒に入れ、直接樽の中にいれることで温度を冷やすという。
もちろん以前の設備であれば空調もありこんな事は必要なかった。足りないものなかでどうにか新酒製造にむけ動く姿をみて、「全てが無くなったのでそれで終わりにするのではなく、まずは前を向いて出来ることは全てやってやる。」という社長の言葉を思い出した。

株式会社シナップ 柿内 暢昌
 

この記事へのコメント

雪っこ出荷おめでとうございま。和歌山でも販売してほしいです

【投稿】いい日旅立ち

コメントありがとうございます。
岩手県外への出荷は11月中を予定しておりますのでお待ちいただけますと幸いです。

【投稿】酔仙酒造

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