蔵人便り

酔仙酒造 × 松徳硝子 コラボ商品開発記 Part1

s_s_title2.png株式会社シナップの柿内です。シナップの酔仙酒造復興支援プロジェクト、プロジェクトリーダーを務めています。
震災後、最初に金野社長に初めてお会いしてから、もうすぐで2年が経とうとしています。
毎月のように現地を訪問し、Webサイトやソーシャルメディア運用のお手伝いをしているうちに、私は酔仙と気仙地方が大好きになりました。

酔仙酒造は津波により工場が全てながされてしまうという被害に遭いましたが、幸いなことにその後すぐに岩手銘醸様のご厚意により千厩玉の春工場を借受け、酒造りをはじめる事ができました。また、昨年は多くの方々からのご支援のおかげで震災から1年半という早さで新工場が竣工、たくさんのお酒を造る環境が整いました。私が想像していたより遥かに速いスピードで酔仙酒造は復興に向かっています。

そんな酔仙酒造から、もうすぐ震災後初の大吟醸酒が発売されます。

酔仙酒造様の復興をシナップでお手伝いすると決めた時、スタッフの親戚が持っていた「酔仙 大吟醸」を飲みながら「このお酒は当分製造されないんだろうな。本当に貴重なお酒だ」と話していました。そんなお酒である大吟醸には私自身、特別な思いがあります。


今回、その特別なお酒である大吟醸酒の発売にあわせて進めているプロジェクトがあります。
それが、極薄のガラス製グラス「うすはり」で大人気の松徳硝子さんのご協力による、「酔仙大吟醸酒」 + 「松徳硝子製 オリジナル冷酒器」のオンラインショップ限定セットの発売です。

 

■大吟醸酒にかける思い

s_s_image5.png昨年6月、池袋の「日本酒フェア」で開催された公開利き酒会。発表された全国の入賞酒の中に残念ながら酔仙酒造のお酒はありませんでした。

当時、酔仙は岩手銘醸様のご厚意により借り受けた千厩の酒蔵でお酒を造っていました。震災後すぐにお酒を造れることは間違いなく大変恵まれていることで、金野社長も常に「皆様の支援にはいくら感謝しても感謝しきれない。大変にありがたいことだ」と話されていました。
一方で、蔵人達は慣れない酒蔵での酒造りに日々苦労を重ねていました。設備はもちろん今までの陸前高田の蔵とは気候も違うため、毎日トラブルに会いながらも必死に酔仙の味を守り続けていました。
そのような状況もあり、昨年は鑑評会の対象となる大吟醸酒の製造を諦めるしかありませんでした。

大吟醸酒は、極限まで磨きあげた米を原料として、杜氏が蔵人とともに酒蔵の威信をかけて大事に大事に造る特別なお酒です。
そんな特別なお酒だからこそ、当時の酔仙酒造では造ることができなかったわけですが、今年はその大吟醸酒を造る準備が整いました。

製造担当の金野泰明さんは「やっと大吟醸酒を仕込めることになりました。震災から一生懸命復興にむかって進んできましたが、大吟醸酒を造れるというのは素直に嬉しいです。雪っこや他のお酒がつくる事ができるのはもちろん嬉しいことですが、大吟醸酒はやっぱり特別です。」と話してくれました。

私にとっても酔仙の復興支援を決めた時に飲んだ特別なお酒です。
そのお酒の仕込みがはじまったというニュースは、ずっと酔仙の復興をみてきた私にとって、とても嬉しい出来事でした。

私と金野さんは、「そんな蔵人の思いが詰まったお酒なのだから、何か特別な事をしたい。たくさんの人に素晴らしさをしってもらいたい」と大吟醸の製造が決まった時から話していました。

 

■松徳硝子さんの協力

シナップの復興支援は、シナップだけで成り立っているわけではなく、たくさんの方々のご協力で成り立っています。
松徳硝子で取締役を努める齊藤さんは、弊社取締役の坂西と古くからの友人でもあり、シナップが酔仙酒造の復興支援を始めたことを、齊藤さんにお話したところ「出来ることあったら何でもするよ」と快く協力を約束してくれました。
その後、松徳硝子さんにご協力頂く機会を伺っていたわけですが、今回、大吟醸の仕込みが始まったことを伺い「今しかないだろう!」とお願いしました。

ここから酔仙酒造と松徳硝子コラボレーション商品の企画が動き出しました。

 

■職人による手仕事でしか出来ない製品にこだわる松徳硝子

img_usuhari_01.jpg松徳硝子は、機械ではなく人の手で吹いてつくる、いわゆる「吹きガラス製法」のみで造られたガラス製品を製造する会社です。白熱灯電球の製造技術で培った薄吹きの製法を活かし、江戸硝子として古くから料亭や割烹で広く愛用され続けて来た薄吹きグラスの注文を数多く受けてきました。平成元年に理想とするグラス「うすはり」を完成させ、その造形の美しさと、口にあてたときの飲み口のよさからビール・お酒・飲み物を「より美味しく飲むことが出来るグラス」として、高い評価を受けています。

 

「うすはり」のグラスは、ガラスの厚さが規格として決まっています。なんとその薄さは0.9mm。それも、どの部分も均一にその薄さというのですから驚きです。実際に、「うすはりシリーズ」を手に取ってみると、ガラスで出来ている事が信じられないくらい本当に薄いです。職人の技ここに極めたりといった趣きで、ここまで薄いグラスを造っている所は他になく、その唯一無二の存在感から、各種飲料系CMのグラスとして利用されることも多い大人気の商品です。

 

■職人の仕事

プロジェクトが始まるにあたり、齊藤さんの説明のもと、松徳硝子の工場を見学いくことになりました。

その工場で待っていたのは何十人もの職人さんが一心不乱にグラスを吹く姿でした。「みてください。みんなガラスから目をはなさないでしょ。」という通り職人さん達は、自分が吹くガラスのみを凝視しています。工場の中央で真っ赤に炊かれた炉から取り出したガラス。それに息を吹きこむタイミングが少しでもずれたり、吹き込む息の量が変わってしまうと奇麗な製品にはならないそうです。その一瞬のタイミングと息を吹き込む量を経験で見極め、一つ一つ寸分違わぬ製品と造る姿はまさに熟練の技でした。

ガラスを吹く職人さん以外にも一つの製品が出来上がるまではたくさんの人がかかわっています。グラスの飲み口を作る人、できた飲み口を研磨する人、口に角が当たらないよう飲み口を焼き滑らかにする人、最終的に製品として販売することが出来るか検査を行なう人。それぞれが真剣に取り組み、いくつもの行程を経て造られる製品は本当に素晴らしいものです。製造の過程を拝見する内に、出来上がった製品により惹かれていくようになりました。

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■松徳硝子のポリシー

s_s_image2.png製造過程や出来上がった製品も大変素晴らしいものでしたが、見学の中で一番こころに残ったのは、松徳硝子のものづくりのポリシーでした。

「私たちは、芸術品ではなくあくまで製品を作っています。そのため、この場所は工房ではなく工場と呼び、働いているのは作家ではなく職人です。製品である以上、ある程度量をつくらなければならないので、一定の規格にあわせ、より正確により早くつくる。それが、腕のいい職人の証です。人の手で作る以上、個体差はある。ただ、そこは手作りの味として誇るべきものではなく、その個体差をなるべく無くすように努力するのが私たちの仕事です。手作りであることを誇るのではなく、機械でつくれないから、職人の手でつくっている。結果機械でつくるよりいい物ができる。それが私たちのスタンスです。」

その言葉には、製品を作りより多くの人に使ってもらい、製品を愛してもらうには何が必要か。松徳硝子の哲学を感じる事ができました。

>>松徳硝子ホームページ

 

■南部杜氏による、酔仙大吟醸のための冷酒器選び

s_s_image4.pngオリジナル冷酒器をつくるにあたり、まず酔仙大吟醸酒がどんなお酒なのかを知る事は大変重要です。そのため酔仙の酒造りの最高責任者である杜氏の村上さんの協力を仰ぎました。

そこで、私と坂西、松徳硝子の齊藤さんでいくつかのサンプル製品をもって、酔仙酒造を訪問しました。
打ち合わせには杜氏の村上さんはもちろんのこと、製造担当の金野さんも参加し、5人で酔仙大吟醸のためのオリジナル冷酒器について熱い議論が交わされました。

議論の結果、酔仙大吟醸酒オリジナル冷酒器の見えてきた理想とは

 

一、口にあてたとき雑味を感じず、大吟醸酒の良さを味わえること

一、大吟醸酒の香りが楽しめること

一、常に良い状態で大吟醸酒を味わえる、最適な量を注ぐ事ができること

一、薄さと丈夫さのバランスがよく、永くつかえること

 

ようやく一つの理想形が見えたところで今回の打ち合わせは終了。
試作品を作り、実際にお酒を飲んでみて理想の冷酒器を決めるということになりました。

酔仙大吟醸酒のための冷酒器とはどんなものになるのか?私は今から楽しみで仕方がありません。
これから何回かのレポートを行いつつ、完成のあかつきには皆様にお届けしたいと思いますので、是非たのしみにお待ちください。

次回はその試飲会の模様を皆様にお伝えします!

 

 

この記事のライター

金野泰明

醸造課・蔵人 醸造事務、室の子 金野泰明

酔仙で働けること、酔仙を飲めることがありがたいことです。ご支援、ありがとうございます。良い仕込みができるよう、落ち着いた気持ちで仕事に取り組むことを心がけています。

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