蔵人便り

SINAPによる復興レポート -東日本大震災からの一年-

2012年3月11日、東日本大震災から丸一年。みなさんはどのように過ごされましたか。

一年前のこの日、SINAPのスタッフはもちろん全員が関東におり、そこで地震の被害に見舞われた。

今でこそこうして酔仙酒造にゆかりが有るが、当時は我々が陸前高田で津波の被害を受けたわけではない。震災直後はテレビから流れる津波の映像を見ながら途方に暮れるだけで、実際にすぐに現地に出向いたわけではなく、しかしそれなりの衝撃を受けていた。

この一年の間、私たちは酔仙酒造のあゆみを見つめ、また、岩手に出向く度に時間の許す限りは津波に襲われたエリアまで毎度足をのばし復興の状況を見てきた。

そんな中で過ごした震災からの一年、初めて迎えた3月11日。この日の前後に各局で放送されていた震災特番を眺めながら、我々の心の中には一年前に抱いた単なる感情とは違う思いが生まれていた。

現在の陸前高田の様子
▲現在の陸前高田の様子
以前の陸前高田の様子
▲2011年7月の陸前高田の様子

■終わりのない課題

先月、陸前高田に赴いた時に我々がふと抱いた感覚は、瓦礫の山が小さくなった、というものだった。

酔仙酒造で打ち合わせをおこなった際に率直にそう伝えると、「あれは片付いたわけではないんです。確かに車は別の所に移しました。でも瓦礫は分別をしているようなので多少小さくなったようにも見えますが、全体量はまったく変わっていないはずです。受け入れ先もまだまだ全然決まらない状態で......」という現実をお答えいただいた。

人の記憶というものはよくできているもので、辛いことはどんどん楽しいことで上書きされていく。遠地にいると、どこか「そんなに遠くない不幸な人たちに救いの手を」という義務感や情けという褒められない感情だけが残り、ほんの一年前に地震や津波が日本を襲った、という生々しい記憶がどんどん薄れていってしまうように思う。実際、震災直後に各地で色々な支援の声が上がっていたが、その声も時間とともに小さくなっている。

しかし被災地ではいまだ日常の一部として復興という課題を抱えているし、以前のようには決して戻らないということを踏まえると課題は終わりのない問題だ。

そんな中迎えた震災一周年。テレビの特番に映るいつも打ち合わせをしてくださる酔仙酒造の皆さん、またその他の被災者の話を受けた後に見る当時の津波の映像は、確実に一年前に受けた衝撃よりも遥かで複雑な思いを生み出した。

■せめて風化させない

我々はご縁があり東北の方々から継続的にお話を伺える。また津波の被災地に赴く機会も多い。

もしかしたら既に、心のどこかで「自分とは少し別の世界の出来事」と整理を付けてしまった方もいるかもしれない。しかし現地ではまだ一年前のままで時間が止まってしまっている人たちもいる。

津波の被害に遭った場所は、今ではほとんど何も無くなってしまっている。信号機もだいぶ数が少ない。現地を車で走っていると、カーナビに目印となっていた店舗が虚しく表示されるだけだ。

一年という時間は区切りとしてはたしかにキリの良い時間かもしれないが、何かが変わるだけの時間としてはあまりに短い。

こうした現実を我々のレポートで少しでも感じていただきたい。そして、現在も復興作業が進行中であることを思い、この災害を風化させないようにしていただきたい。

株式会社シナップ
守谷 絵美

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